帰り道、スーパーによって、嫁さんに頼まれた牛乳とリンゴジュースを買う。
レジを通って、袋に詰めてる時、懐かしい、じい様の香りがした。
隣で袋に詰め始めたご老体が、じい様と同じポマードをつけていた。
もの静かで優しかった、5年前に他界した、じい様。
特攻隊で、菩薩と呼ばれてた、じい様。
じい様達、個人個人が国を守ろうとしてくれたお陰で授かった曾孫を、他界する前に抱かせてあげられたのが不肖のワシの出来る唯一の恩返しだった。
そんなじい様の香りが懐かしく、スーパーにいたご老体を見守ってました。
昔、じい様が初恋の話をしてくれた。
じい様が学生の時、早朝に桃山御陵の大階段を散歩するのが日課だったとか。
必ずある女学生とすれ違い、日を重ねるうちに、おじぎをする様になったとか。
しかし、女子に声をかけるなぞ許されないご時世、日はただ過ぎ去り。
結局、徴兵か卒業かで会う事もなくなったけど、初恋だったと照れていた。
双方共にもうこの世には居ないのだが、心の理を学んでいると、たまに意識はどこから来て、どこに行くのかと思ふ