銀河鉄道の夜


上司のお見舞いの帰り道、あざみ野からバスに乗ってみた。
暗闇の中、知らない街、知らない路をバスが行く。

日立研究所前でバスが止まった。
仕事を終えた人が乗って来た。
たまたま、上司が若い頃通っていたバスに乗り合わせたようだ。
銀河鉄道に乗っている錯覚を覚えた。

途中,歯医者が見えた。
灯りが漏れてる。
扉を出る患者さんと、受付の人が見えた。
他人の日常に、居てはいけない自分がいる ー なんか、そんな感触がした。

その歯医者近くのバス停で大勢降りた。
研究所から乗って来た人も降りたようだ。

どこまでも行くかと思われたが、暗闇の中から突然知っている街が姿を現した。
終点だ。

家に着くと、子供らが風呂場で騒いでる。
イマイチな味の、おでんが食卓に出る。
小説とは違い、僕の日常は、その日常をとどめているようだ。
本当の幸いとは、そう言う事かも知れないなと、ぼんやり思った。

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