アキラ叔父さん

「…だろぉ?」と、ニコリと最後に落とすアキラおじさんが亡くなった。
正確には大叔父さんだが、みんな叔父さんと呼ぶのでワシも叔父さんと呼んでた。
婆様の兄であり、夏に亡くなった「優秀、優秀」が口癖のヒロシおじさんの弟だ。

夏になると、ツルツルの頭に麦わら帽子をちょこんと乗せて、ワシの好きな切手を土産にやって来た。玄関をくぐると、麦わら帽をひょいと持ち上げてつるりとした頭を見せて「元気かい?」とニコリとする。その口の上には白いヒゲを蓄えてた。

ポッコリと出たお腹をさすりながら、麦茶を飲みながら扇子でパタパタと笑顔を扇ぐ。そんなアキラ叔父さんには親しみを込めて、「ケンタッキーの叔父さん」とか、「サンタの叔父さん」と愛称をつけた。

いつも一緒だったヒロシ叔父さんが他界したとき、すでに調子が悪くて葬儀に来られなかった。「アニキ、アニキ」「ヒロシ、ヒロシ」と、仲の良かった兄弟の事を思うと、自分の子供達とダブって涙が止まらなかったが、同時に「一緒になれてよかったね」と言う安堵の思いに包まれる。

今日は、そのヒロシ叔父さんのお通夜。6時過ぎまでフランスと電話会議して、30分遅れて葬儀場に到着した。焦るワシに、アキラ叔父さんは額の中で「だろぉ?」ニコリと笑ってた。

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